8割が効果を実感!?AIの活用で業務効率化~機械学習の導入事例4選~
AIの導入による効率化、業務改善とよく言われているが、
「自社のビジネスのどこにAIを活用すればよいのかわからない」
「そもそも導入するメリットが見えにくい」
「どんな使い方があるのかわからない」
という方に向けて、業務改善や効率化の視点からみたAIの強みと、その活用事例を紹介する。実際にAIを導入した企業の満足度についても調査結果をもとに検証し、AIを活用した業務効率化について考えてみよう。
AIが働く仕組み
はじめにAIが働く仕組みについて整理しよう。AIを動かすためには、まず人間がAIに機械学習に利用するデータ(教師データ)を与えて学習させるプロセスが必要だ。問題と解答の情報が含まれたデータを何度も繰り返し与えると、AIがそこから規則性や特徴を見出して判断する力を持つようになる。このAIが動作するための訓練が機械学習だ。
ビジネスにAIを導入するメリット
アノテーションのやり方次第でAIをカスタマイズ
AIが機械学習を行うための教師データを準備する作業をアノテーションという。アノテーションは人間が手作業で行う必要があるが、言い換えればやり方次第で好きなようにAIを育成できるということである。自社のビジネスの課題や今後の展望に合った方針を策定して、プロジェクトごとにAIをカスタマイズすることも可能である。人材を育成することに比べると、より身軽でプロジェクトの目的にフォーカスした方法だと言えるだろう。
人間を上回る作業処理能力と仕事の偏りの解消
圧倒的な生産性は AIの大きな特長である。AIには体調変化も決まった勤務時間もないため、迷いのない判断基準で休むことなく大量のデータを処理することができる。特に識別や予測といったタスクにおいては、人間よりも高速で正確な処理が可能である。
また、特定の人材にスキルや知識が偏っている場合は、AI を導入することで状況を改善できる。仕組みを作ってしまえば、人材の入れ替わりや休暇に影響を受けることなくプロジェクトを進行することが可能になる。
単純労働から働き手を解放
単純で時間のかかる作業をAIの担当としてしまえば、人間は企画などのクリエイティブな業務や新しい分野の学びに時間を割くことができる。働き方改革の視点からもAIの活用に期待できることは多いといえるだろう。
ビジネス現場でのAI活用事例
活用事例1: カスタマーサービスやヘルプデスクのチャットボット
AIチャットボットの導入はすでに一般的であり、オペレーターに代わってAIが顧客の問い合わせに対応する。顧客や取引先からの問い合わせ対応だけではなく、企業内のイントラネットでの活用もみられる。
活用事例2: 契約書レビューや帳票処理の自動化
AIの導入により書類のレビュー、データ抽出、入力、集計、分析、出力といった一連の業務を自動化することができる。契約書の内容のレビューや請求書などの帳票処理に活用される。
契約書レビューではAIが契約書の内容をチェックしてリスクの洗い出しを行うことにより、弁護士など外部の専門家を手配することなく、一定のレベルのチェックが可能だ。
活用事例3: 医療サポート
診断業務の効率化にAIが活用されている。レントゲンやエコー、MRIのような画像から病変や腫瘍とみられる領域をAIが抽出し、先に見当をつけることで医師の業務を軽減して見落としを防ぐ。
Googleが発表した医療用画像認識AIでは、ユーザーがスマートフォンで撮影した皮膚の画像をもとに、AIが病変を認識して診断を行う。
活用事例4: 建設や製造現場での異常検知・設備保全
作業員の危険領域への侵入や重機との接触などのヒヤリハットの検知にAIが活用される。予知保全の用途では、工場設備の作動音からAIが異常を感知して機器の劣化や故障を判断することもできる。道路や建造物のメンテナンスにおいては、ひび割れや塗装剥がれなどの老朽化のサインをAIが画像から検出することで、人間による定期検査の業務を軽減する。
AIの開発では複数の技術や手法が組み合わされることが一般的だ。例えばスマートフォンアプリのGoogle翻訳では、カメラを向けた対象の文字を認識して逐次翻訳することが可能であり、これはAI OCRと自然言語処理、さらにAIによる翻訳の技術が組み合わされた例である。このように技術の組み合わせ次第でAIの活用法は無限に広がる。
日本企業のAI導入率は?
「業務においてAI技術を活用している」と回答した企業の割合は、日本は24.3%である。日本の企業におけるAIの主な利用目的は効率化・業務改善であるといわれている。
AIを導入している日本企業を対象に、その効果についての実感を調査した結果、非常に効果があった:19.5%、ある程度効果があった:61.5%とAIを導入している企業の8割は業務改善の効果を実感しているという事実が見えてきた。AIの導入による効率化、業務改善は十分現実的であり、取り組む価値のあることだと言えるだろう。しかし日本企業におけるAIの導入率はまだまだ低い。コンペティターに先駆けた導入でビジネスを躍進させよう。