生成AI導入成功企業事例まとめ10選【業務時間短縮編】
注目を集めている生成AIを活用したいと考えていても、
「生成AIを使いたいけど完成のイメージがつかめない」
「生成AIで業務時間の短縮ができるのか知りたい」
「生成AIを活用できる業務の見当がつかない」
このように成果が得られるのか不安を感じている方は多いようだ。
実は国内企業の約80%は生成AIを活用または活用を検討中とのデータがある。実際にさまざまな分野で生成AIは活用されるようになった。多くの企業では、生成AIを活用することで業務時間を短縮している。
そこで、この記事では生成AIを活用した業務時間短縮を実現した10の成功事例を紹介する。成功事例を参考に業務改善に取り組んでみよう。
生成AIの概要とメリット・デメリット
生成AI(Generative Artificial Intelligence)は人工知能(AI)の一種で、機械学習の一分野である。文章や画像、音声などを新たなコンテンツとして作り出すChatGPTやCopilot、Gemini、Bingなどのサービスがある。
利用方法が簡単でありながらも、人間と同等もしくはそれ以上の質のコンテンツを自動生成できるのが特徴だ。近年は次世代のAIとして注目されている。具体的なメリットとデメリットを紹介しよう。
生成 AI をビジネスに取り入れる際の4つのメリット
生成AIをビジネスに活用した場合に考えられる主なメリットは、以下の4つである。
- 既存業務を自動化 / 効率化できる
- パーソナライズコンテンツの提供
- リアルタイムデータ分析
- 人為的なミスやエラーを減らせる
上記の中でも、とくに注目したい点は既存業務の自動化と効率化である。自動化と効率化によって作業時間の短縮が可能になり、また、人為的なミスやエラーを減らせれば、結果的に業務効率の向上も期待できる。
実際に生成AIをビジネスに活用し、時間短縮した多くの成功事例があり、活用する際の参考に最適だ。
生成 AI をビジネスに取り入れる際の4つのデメリット
生成AIをビジネスに活用した場合に考えられる主なデメリットは、以下の4つです。
- ハルシネーションが発生する
- 生成物の品質を安定させるのが難しい
- 思考プロセスがブラックボックスに陥りやすい
- 一時的な支出が増える
AIが間違った情報を生成する現象をハルシネーション(Hallucination)という。現状では、AIが生成した生成物がすべて正しいわけではない。したがって、人手による間違い箇所の発見と修正が必要だ。
間違いを発見するには手間がかかるため、確認作業自体が業務の効率化や時間短縮の妨げになる。
また、ハルシネーションは生成物の品質とも関係が深く、生成AIが直面している課題である。
生成AIで時間短縮が可能な8つの活用方法
生成AIを活用して、業務の効率化や時間短縮ができる主な方法は以下の8つである。
- カスタマーサポートの問い合わせ対応
- 資料作成
- メール文・SNS投稿文の作成
- オリジナル画像や動画の生成
- プログラミングコードの生成
- 市場調査・分析
- スケジュール管理
- 新規アイデアの提案
このように、さまざまな分野において生成AIの活用が可能である。近年は多くの企業サイトで生成AIを活用したチャットボットが採用されている。
また、プログラムや画像、動画などの分野においても、高品質の生成物が生成されるようになってきた。今後、生成AIはさらに多くの分野で活用されることになるだろう。
生成AIを企業で活用した成功事例には、どのようなものがあるのだろうか。
商品企画の時間を最大90%削減
近年、独自商品の開発に力を入れている某国内最大規模のコンビニエンスストアチェーンでは、生成AIを活用し、商品企画の時間を大幅に削減した。
店舗の販売データやSNS上での消費者の反応を分析する際に生成AIを活用し、さらに新商品をPRする際のコピーや画像の制作にも生成AIを利用し、流行やニーズに合った商品を素早く売り出すことに成功した。
生成AIを商品企画に活用した結果、最大で90%の時間削減を実現している。
宿泊予約センターも生成AIの時代
某総合リゾート運営会社では、旅館やホテルの宿泊予約や問い合わせは、インターネット経由が増えているため、電子メールへの対応に工数がかかる状況だったが、生成AI搭載オペレーター支援ツールを導入し、宿泊予約に関する電子メール業務のプロセス改善に成功。業務にかかる時間を大幅に短縮できた。
その生成AI搭載オペレーター支援ツールは、カスタマーサポートのメール対応を効率化・品質向上させるツールであり、メールでの宿泊予約や問い合わせへの自動対応領域を拡大し、新人の早期戦力化も可能となった。
また、生成AIの活用により属人化を解消した成功事例としても参考になる。
開発期間を短縮
誰もが知っている某老舗お菓子メーカーでは、生成AIを活用して需要予測を行い、マーケティング部門を強化した。その結果、商品開発にかかる開発期間を短縮している。
また、AIチャットボットを導入した省人化にも成功した。AIチャットボットを導入した結果、バックオフィス部門の問い合わせ対応は約31%削減でき、大幅な業務改善にもつながっている。
この会社のAI活用は、業務改善と開発期間を短縮した成功事例です。
研究開発の効率化
エッセンシャルケミカルズ、エネルギー・機能材料、情報電子化学などの5つの事業を展開している某財閥系の総合化学メーカーでは、生成AIを活用した「ChatSCC」の運用を開始し、生産性が飛躍的に向上した。『ChatSCC』は生成AI『ChatGPT』を自社の事業にあわせて改良したツールで、約6,500名の全従業員が活用している。
『ChatSCC』は文書作成や校正、プログラムソースコード生成などの一般的なオフィス業務、技術アイデアの創出や研究・製造データの分析に活用中だ。住友化学における約200の業務パターンをテストした結果、最大で50%以上の効率化を確認している。
この会社の『ChatSCC』活用は、業務時間を劇的に短縮できた成功事例だ。
1日2時間の業務効率化
あるソフトウェアおよび関連サービスの「開発」「運営」「事業企画」を行っている企業では、生成AIを活用し、さまざまなソフトウェア開発を行っている。使用している生成AIは、米マイクロソフトの子会社ギットハブの『GitHub Copilot』です。
『GitHub Copilot』はAIが条件にあった最適なコードを提案し、AIが最適なコードを推測し提案するサービスであり、Python、JavaScript、TypeScript、など多くの言語に対応している。
この会社では、社内のエンジニア約7000人全員が使用し、平均で1日当たり約2時間の作業時間を削減した。生成AIの活用によって空いた時間は、新たなサービスの考案などの付加価値が高い業務にあてているという。
この会社の生成AI活用は、作業時間短縮により新たなサービス展開を可能にした成功事例である。
労働時間を削減(三菱UFJ銀行)
ある銀行では、業務プロセスの革新を図り生成AI『ChatGPT』を導入。月22万時間分の労働時間が削減可能との試算を発表しました。約3万人の従業員が生成AIを活用することで、桁違いの時間短縮ができるとのこと。
生成AIで可能となるのは、主に下記のような業務である。
- 社内文書のドラフト作成
- 稟議書の作成
- 企画のアイデア出し
- 壁打ち相手としての活用
- アンケートの分析
- 手続きマニュアルのドラフト作成・校正
- 通達文等のドラフト作成・校正
全従業員が行内の幅広い業務で活用している。大規模な生成AIの活用は、導入の際に参考になる活用事例である。
生成AIと人の力を融合させたコールセンター
40年以上に渡り、コールセンター事業を中心にした各種アウトソーシング、コンサルティングなどに取り組んできているコールセンター業界の先駆け的存在の某会社では、これまでのコールセンターとは異なり、生成AIと人の力を融合させたハイブリッド型コールセンターを手掛け、2023年6月より実証実験を開始した。
- 簡単な質問にはAIが回答
- AIに回答が難しい質問にはオペレーターが回答
生成AIを活用することで、深刻化する人材不足の解決を目指している。ハイブリッド型コールセンターは、人と生成AIのメリットを上手く組み合わせた成功事例です。
監査業務を年間1,900時間削減
ワクチンや血漿分画製剤などを扱う国内唯一のバイオロジクス企業では、医薬品が法令や省令に沿って作られているかを監査しており、監査業務に生成AIを活用することで、年間1,900時間の削減に成功した。
この会社ではAIチャットボットサービス『OfficeBot』を導入し、社員が情報をリサーチするツールとして活用している。
『OfficeBot』はAIが質問パターンを自動学習し、不足している情報を収集・学習するシステムのことだ。
従来は監査業務に多大な時間を要していたが、生成AIを活用することで大幅な時間短縮が可能となった。もっとも大きな要因は、生成AIによって社内資料を簡単に参照できるようになったことだ。
結果として、監査業務にかかる時間を年間1,900時間削減できた。また、これまで膨大な量の情報収集、理解することの難しさから経験の長い社員に業務負荷がかかっていたが、業務の中で人材を育てる環境を構築できたことも大きな成功に繋がっている。
患者の待ち時間を大幅削減
佐賀県鳥栖市にある医院では、生成AIを活用し、患者の待ち時間を大幅に削減した。
病院では受付から診察、検査、会計、薬の処方までの過程があり、場合によっては数時間かかります。そこでこの医院では、すべての過程を1時間以内に済ませることを目標に、生成AIを活用した業務改善に取り組んできた。
改善活動を『SPEEDYシステム』とし、AI受付システムなどの導入によって業務効率化と患者サービスの向上を実現している。
ChatGPTや画像生成AIなど最新のAI技術を搭載した対話型AIは、他の人員が裏で操作する必要がなくAIが学習し患者の質問に対応してくれるため、受付業務をAIのみで完結してくれることが導入の決め手になったようです。
この医院は従来の2倍以上のスピードで診療が可能となった、医療機関としては珍しい成功事例だろう。
アンケートの分析を1/10以下に時短
シンクタンク事業やコンサルティング事業、ITソリューション事業を行っている大手企業ではさまざまな調査を行う際にアンケート調査が発生する。従来はアンケートの集計に多大な時間を要していたが、生成AIを活用することで大幅に集計時間を短縮できた。
具体的には、1,000件分の自由記述式アンケートの集計が人間が1件ずつ読み解く時間の10分の1以下で実施できたとのこと。自由記述式の読解や分析には時間もコストもかかっていたため、生成AIの活用は大幅な省力化の成功事例といえる。
アンケート調査はさまざまな分野で幅広く利用されているので、生成AIの活用事例は大いに参考になるだろう。
成功事例を参考に生成AIの活用で時間短縮が可能
本記事では生成AIによって業務時間の短縮や業務改善に成功した10社の事例を紹介した。生成AIは文書作成やクリエイティブ制作、問い合わせ対応などさまざまな分野で活用できるメリットの大きいツールである一方で、AIの生成物が必ずしも正しいとは限らないなどのデメリットもあるため、利用の際には注意しなければならない。
近年では大きなメリットを感じ、約80%の企業が生成AIの関連サービスを活用したり、活用を検討したりしている。生成AIを活用すれば、業務効率化や省人化が可能となり、結果的に業務時間の短縮もできる。もし、生成AIの活用を迷っているなら、記事内で紹介した成功事例を参考に、より深い検討をしてみよう。