シリーズWindows 11攻略・1 Copilotだけじゃない!追加機能続々 Windows 11の大型アップデート「24H2」
マイクロソフトによるWindows 11の最新バージョン「24H2」が2024年10月1日に一般リリースされた。11は2021年のリリース以来、3回目の大型アップデートを迎え、この最新版は24H2と呼ばれることが多い(Arm版のCopilot+ PC向けには、2024年6月より先行リリース)これにより、Windows 11のサポート期間は2026年10月13日まで延長され、OS全体の機能向上が図られている。
更新プログラムはWindows UpdateおよびWindows Update for Businessを通じて提供されるため、ユーザーは設定次第で早期にアップデートを受け取ることが可能だ。Windowsは年1回の更新ポリシーを採用しており、「24H2」のリリースによって継続的なサポートとセキュリティーの強化が強化される。「24H2」にアップデートすることで、ユーザーは新しい機能を享受し、OSの安定性とセキュリティーが向上するため、効率的で安全な環境で作業を進めることができるだろう。
このアップデートには、すべてのPCユーザーが利用できる機能と、高性能なCopilot+ PC専用の機能が含まれている。まず、共通の新機能として、ユーザーインターフェースの改善が挙げられる。操作性が向上し、よりスムーズに作業ができるようになった。また、セキュリティー面でも強化が図られ、安心して利用できる環境が整えられている。さらに、Wi-Fi 7への対応にも大きな進歩があった。最新の無線通信規格を採用することで、ネットワークのパフォーマンスが大幅に向上している。
一方、Copilot+ PC向けの新機能も充実しており、高性能なハードウェアを活かした処理速度の向上や、より高度なタスクへの対応が可能になった。クリエイティブな作業においても、パフォーマンスの向上が期待できるだろう。
本記事では、すべてのPCユーザーが利用できる共通の新機能からみていこう。
ユーザーインターフェース関連機能のアップデート
ロック画面の情報強化
ロック画面上で天気予報やスポーツのスコア、交通情報、財務ニュースなど、さまざまなカテゴリの情報を直接確認できるようになった。これにより、PCのロックを解除せずとも、重要な情報をいち早く把握することが可能になった。また、メディアの再生中に画面をロックした場合でも、ロック画面の下部に操作パネルが表示されるため、オーディオの停止などを直接操作できるようになった。
デスクトップ壁紙のカスタマイズ強化と絵文字対応の拡充
デフォルト設定が「Windowsスポットライト」に変更され、壁紙が定期的に自動更新されるようになった。ただし、アップ時に壁紙設定を維持するオプションを選択したユーザーは、変更前の設定が保持される。また、HDR対応デバイスを使用しているユーザーには、JXR形式でHDR壁紙を設定できる新機能が追加されている。
Windows共有機能の進化
ユーザーはファイルを右クリックし、「共有」を選択することで、さまざまな共有オプションを利用できる。例えば、写真や文書ファイルをメールで自分自身に送ったり、ファイルをクリップボードにコピーしたりすることが可能である。さらに、Microsoft Edgeで開いているページのQRコードを生成する新機能も追加された。これらの機能拡張により、ユーザーはファイル共有と情報共有をより柔軟かつ効率的に行えるようになっている。
また、最新の国際規格であるemoji 15.1がサポートされ、ユーザーは多彩な絵文字を利用できるようになった。
セキュリティー関連機能のアップデート
Wi-Fiアクセス制御の強化
アプリが近隣のWi-Fiネットワーク情報にアクセスする際、そのアクセスを個別に管理できるようになった。アプリが初めてWi-Fiネットワーク情報にアクセスしようとするとき、ユーザーに許可を求めるプロンプトが表示される。
位置情報通知の精度向上
アプリがWi-Fi接続情報を利用して位置情報を取得する際、ユーザーに許可を求めるポップアップが表示されるようになったことにより、スマートフォンと同様に、アプリごとに位置情報の使用許可を個別に管理できるようになり、プライバシー保護の観点から大きな改善が図られた。
BitLockerの適用範囲拡大
これにより、従来のデスクトップPCや自作PCでもデバイス暗号化が可能になった。これは、DMA(ダイレクトメモリアクセス)とHSTI(ハードウェアセキュリティテストインターフェース)/モダンスタンバイに関連する従来の条件を廃止することで実現した。
新規に「24H2」をインストールする際は、デバイス暗号化機能が自動的に有効化される一方、既存のシステムをアップデートする場合には、デバイスの自動暗号化機能は無効の状態を維持する。さらに、最新暗号化ハッシュ関数のサポート、フォルダレベルでの暗号化機能の導入、Rust言語で開発されたカーネル要素の追加など、セキュリティー層はより一層強化されている。
sudoコマンドの導入
Linux系OSでおなじみのsudoコマンドが導入されたことにより、Windowsターミナルで管理者権限を得るために、別途ターミナルを管理者権限で起動する必要がなくなった。sudoを使用することで、管理権限が必要なコマンドも簡単に実行できるようになった。
ネットワーク関連機能のアップデート
Wi-Fi 7対応の正式サポート
次世代無線規格のWi-Fi 7への対応が正式に行われた。このアップデートにより、320MHzの帯域幅でのリンク速度が表示されるようになった。さらに、MLO(Multi-Link Operation)と呼ばれる複数帯域の同時接続機能も強化されましたことにより、ユーザーはより高速かつ効率的なネットワーク接続を享受できるようになった。
ネットワーク一覧の即時更新機能
Wi-Fiアクセスポイントの表示を即座に更新できるようになった。これは、接続先のSSIDが表示されない場合に非常に役立つ。また、Wi-Fi接続時には通知領域に新しいアニメーション表示のWi-Fiアイコンが現れ、接続プロセスが視覚的に分かりやすくなっている。
Wi-Fi接続のQRコード生成機能
24H2ではWi-Fi接続に必要なパスワード情報やほかの機器と共有するためのQRコードを簡単に生成できる。ほかの機器はQRコードを撮影するだけでWi-Fiに接続できる。これによりWi-Fi接続の手間が大幅に削減され、ユーザーの利便性が向上した。
タスクバー関連機能のアップデート
クイック設定のスクロール対応
これまでは最大6個のアイコンしか表示できなかったが、新たにスクロール機能が追加され、ユーザーはすべてのアイコンをスクロールして表示できるようになった。この変更により、より多くの機能に素早くアクセスできるようになり、「省エネ機能」など新たなアイコンも追加された。
アプリ固定のドラッグ機能強化
ユーザーはスタートメニューからアプリアイコンを直接ドラッグし、タスクバーにリリースするだけで簡単にアプリを固定できるようになった。直感的な操作で、よく使うアプリをタスクバーにすばやくピン留めできる。頻繁に利用するアプリをタスクバーに素早く登録できるため、アプリの起動やタスク切り替えがスムーズになった。
タスク終了の簡略化
タスクの終了が簡略化された。この新機能を利用するためには、「設定」メニューの「システム」セクション内にある「開発者向け」から「タスクの終了」をオンにする必要がある。設定が完了すると、タスクバーのアイコンを右クリックした際に「タスクを終了する」というオプションが表示されるようになる。
これにより、ユーザーはタスクマネージャーを開かなくても直接タスクを終了できるようになった。操作がより直感的でスムーズになったことで、作業の効率化が図られている。
タスクバー表示機能の進化
エクスプローラーで開いているタブの数がタスクバーのプレビュータイトルに表示されるようになった。これにより、複数のタブを開いている場合でも、一目で何枚のタブが開かれているかが分かるようになった。
エクスプローラー関連機能のアップデート
コンテキストメニュー(右クリックメニュー)の操作性向上
従来のバージョンでは、使い勝手の問題から不評だったコンテキストメニュー(右クリックメニュー)が、より直感的で使いやすいデザインに一新された。特に、「切り取り」、「コピー」、「名前の変更」、「共有」、「削除」といった頻繁に使用する機能については、アイコンと共に機能名が明記されるようになり、初心者にも理解しやすくなっている。
この変更は、ユーザーが以前のWindows 10仕様に戻したいと感じていた不便さを解消するもので、多くの利用者にとって歓迎される改良と言えるだろう。
エクスプローラータブの複製機能
現在開いているフォルダを新しいタブとして複製できるようになった。同じフォルダを複数のタブで開くことで、ファイルの移動や比較がしやすくなり、作業効率の向上が期待できる。
アドレスバーへのドラッグ操作追加
アドレスバー上の階層リンクに、ファイルを直接ドラッグアンドドロップできるようになったことにより、ファイルの移動がより直感的に行えるようになった。従来の方法に比べ、作業効率の向上が期待できるだろう。
新しいファイル圧縮形式対応
従来はZIP形式のみだったが、新たに7z形式とTAR形式が追加されたことにより、ユーザーは圧縮方式を選択できるようになり、データの保存や転送の効率化が期待できる。特に、大容量ファイルを扱う際には、7z形式やTAR形式の利用が有効だろう。
ただし、ZIP形式と比べると操作手順が増えるため、利便性の面では一長一短かもしれないが、ユーザーのニーズに合わせて最適な圧縮方式を選べるようになったことは、大きな前進と言えるだろう。
PNGメタデータ編集機能の導入
PNGファイルの「詳細」プロパティ画面から「タイトル」と「タグ」を自由に編集できるようになった。これにより、以前は登録できなかったメタデータを手動で管理できるようになり、特にスクリーンショットの整理に役立つことが予想される。
また、将来的にはAIを用いた画像検索機能の実装が予定されており、これによって画像管理がさらに効率的になると期待されている。
デバイス関連機能のアップデート
Bluetooth LEオーディオ対応の拡大
補聴器を含む多様なBluetooth LEオーディオデバイスとの接続性が強化されている。また、オーディオのプリセット設定やアンビエントサウンドコントロールといった新機能が追加され、聴覚補助デバイスのアクセシビリティ機能が向上した。
さらに、「設定」メニューから接続済みデバイスのオーディオ設定へのアクセスが簡素化されたことで、ユーザーにとってより使いやすくなっている。
Voice Clarity機能の拡充
Surface Laptop Studioで採用されていた音声のノイズ除去機能が、「24H2」で他の多くのデバイスにも対応した。より多くのユーザーが、クリアな音声通話を楽しめるようになっている。
マイクテストの追加機能
従来の「規定」テストに加え、「通信」テストが新たに追加されている。「通信」テストは、Web会議などでのマイクのパフォーマンスを試すために設計されており、現代のリモートワークのニーズに対応している。
アプリ関連機能のアップデート
リモートデスクトップの使いやすさ向上
このアップデートにより、ダークモードの導入やテキストスケーリング機能が追加され、テキストサイズの調整をメニューから簡単に行うことができるようになった。また、300%以上のズームオプションが追加されたことで、視覚障害を持つユーザーなどでも快適に使用できるようになった。これらの機能強化により、リモート作業の柔軟性が高まり、ユーザーの利便性が全体的に向上した。
Microsoft Teamsの通知管理強化
Microsoft Teamsでは、個人用と職場または学校用のアカウントを一つのアプリで一緒に管理できるようになった。この変更によって、使用体験が大きく向上している。さらに、通知機能も強化され、アカウントごとに通知を区分して表示できるようになった。これにより、ユーザーはより効率的にワークフローを管理することが可能になる。
Copilotアプリの独立化
Copilot in Windows起動用のアイコンは従来タスクバーの右端に固定だったが、「24H2」からは通常のアプリと同様にタスクバーにピン留めされ、独立したアプリとして利用できるようになった。ウインドウの位置やサイズを自由に変更したり、スナップしたりと通常のアプリと同様に操作できるようになった。また、必要に応じてこのアプリをアンインストールすることも可能だ。
また、Copilotアプリではプラグインを追加して機能を拡張したり、Notebookを利用してメモを取ったりすることができる。ただし、現時点ではCopilotによる自然言語でのWindows操作には対応していないので注意が必要だ。
モバイルデバイスカメラの活用拡大
PCとワイヤレスでリンクされたスマートフォンのカメラを利用できる新機能が導入され、モバイルデバイスの管理を通じて設定が簡単に行えるようになった。これにより、Web会議時の製品撮影などの用途での活用が期待される。
タスクマネージャーの性能表示強化
まず、メモリーの速度を「MT/秒」単位でリアルタイムに表示できるようになり、ユーザーはメモリーの性能をより詳細に把握できる。また、プロセス終了後のリソース解放が高速化されたことで、システム全体の反応速度や効率が向上し、パフォーマンスが改善されている。
設定関連機能のアップデート
電源とバッテリー設定の進化
「電源とバッテリー」設定では、電源接続時とバッテリー駆動時でそれぞれ個別に設定できるようになったことで、使い勝手が大幅に向上した。これにより、状況に応じた最適な電源管理が可能になる。
また、新機能「カバー、電源とスリープ ボタンコントロール」では、電源ボタンやカバー操作時の反応を事前に設定でき、「何も行わない」「スリープ」「休止状態」「シャットダウン」など複数の選択肢から好みの動作を選べるので、ユーザーの利便性が高まるでしょう。
省エネ機能の強化
以前の「バッテリー節約機能」が改良され、「省エネ機能」として導入された。この機能はバックグラウンドタスクの一部を制限することで、デバイスのバッテリー寿命を延長させることを目的としており、特筆すべき点は、この省エネ機能がノートPCだけでなく、デスクトップPCや仮想マシンにも適用されるという点である。
CABC機能の強化
CABC機能では、表示コンテンツに応じて画面の明るさを自動調整することで、電力消費を削減しつつ視認性を維持する。バッテリー駆動時だけでなく、プラグイン時にも有効に働くため、より快適で効率的な使用が可能になる。
グラフィック設定の改善
システムのディスプレイ設定内のグラフィック機能が強化され、自動HDRと可変リフレッシュレートの設定が可能になったことにより、ゲームや動画再生時の視覚体験が格段に向上し、没入感のあるグラフィックを楽しめるようになるだろう。
カラープロファイル管理機能
「設定」の「ディスプレイ」セクションに新たな「色の管理」オプションが追加され、ユーザーは直接カラープロファイルを設定できるようになったことにより、以前はコントロールパネルを介して行っていた設定作業の手間が省ける。
動的リフレッシュレート(DRR)機能の強化
ディスプレイのリフレッシュレートが動的に調整され、各モニターや表示コンテンツに最適なリフレッシュレートでの表示が可能となる。さらに、バッテリーセーバー機能が有効な際は、ディスプレイは低リフレッシュレートで維持され、高リフレッシュレートへの自動切り替えは、動きの激しいシーンなど必要な場合にのみ行われる。これにより、バッテリー消費を抑えつつ、最適な表示を実現できる。
デバイスリンク機能の強化
「設定」メニューの「アカウント」内にある「リンクされたデバイス」を使うことで、PCやXboxなど、複数のデバイスを一括で管理できるようになった。この機能により、ユーザーはデバイス間でのシームレスな操作が可能となる。
回復メールアドレスの簡単追加
「設定」メニュー内の「アカウント」セクションに、「今すぐ追加」という新しいボタンが設けられた。この新設された「今すぐ追加」ボタンを利用することで、ユーザーはMicrosoftアカウントに回復用メールアドレスを容易かつ迅速に追加することが可能となり、結果としてアカウントのセキュリティーが向上する。
2024年10月1日に一般リリースされたWindows 11の最新バージョン「24H2」では、UIの洗練やWi-Fi 7対応による高速通信、エクスプローラーやタスクバーの操作性改善、Copilot+ PC専用機能やAIを活用した画像超解像など、使い勝手がアップする更新が目白押しだ。
これにより、日常作業からクリエイティブな利用まで、効率性と快適性が大幅に向上するだろう。また、セキュリティー強化やサポート期間の延長(2026年10月13日まで)により、安心して長期的に利用可能だ。アップデートはWindows Updateから手軽に行え、非対応時には公式サイト経由での手動アップデートも可能だ。最新機能を活用し、より柔軟で高品質な作業環境を手に入れよう。
なお、現時点でWindows 11へのアップデートを未実施で、Windows 10以前のOSを引き続き利用されている場合には、アップデートではなく、Windows 11搭載機への乗り換えをおすすめする。Windows 11へアップデートする際には、CPUを含むシステム要件を満たしているかの検証が不可欠で、一定のリスクも存在するためである。アップデートのリスクや負荷を軽減して、かつ時間とコストも節約できる。
Windows 11搭載機への乗り換えも検討してみてはどうだろうか。










