AIはどこまで進化しているのか~今後なくなる仕事と残る仕事~

最近では、仕事や業務の一部をAIが担うことが当たり前のようになってきた。「AIに人間の仕事を奪われるのではないか?」と危惧している人も多いかもしれない。確かにAIの進化とともに、人間が担っていた仕事の一部はAIに奪われていくだろう。
しかし、AIではできない仕事もあるので、就職の際にはAIに取って代わられる可能性が低い仕事を選ぶことも重要な要素になるだろう。本記事では、AIは今どこまで進んでいるのか、そして今後AIに奪われる仕事とAIにはできない仕事を詳しく解説していく。

AIって何だろう?

AI(人工知能)とはArtificial Intelligenceの略で、定義は研究者によって異なるが、人工知能学会によると「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と説明されている。AIの最大の特徴は、自己学習能力があることである。AI以前の技術では、人が機械に毎回指示を与える必要があったが、AIでは、人が毎回指示を与えなくとも自分で学習し、最適な行動を起こす(ディープラーニングと呼ばれます)。このようなシステムを持ったものをAIと呼ぶ。

AIの現在、そして未来予想

AIの進化は、すでに私たちの想像を超えるところまで進んでおり、現在多くの企業でAIが活用されている。実用化されている例としては、以下のような活用方法がある。

  • ビッグデータを分析し、顧客の好みにあった商品を提案
  • 企業の採用活動で、応募者の履歴書の文面などから、AIが適切な人材を選抜
  • 電話でお店の予約時、自動応答機能で違和感なく会話

今後もさらなる進化が予想されている。2030年代の社会や生活について、総務省 情報通信審議会の「未来をつかむTECH戦略」*¹では、年齢や性別、障害の有無、国籍、所得などに関わりなく、多様な価値観で豊かな人生を送れるような社会になるために、AIが活用されるイメージがまとめられている。たとえば、日常生活をサポートする「お節介ロボット」や、自動運転のタクシー「クルマヒコーキ」、家でも街中でも簡単な診断を行ってくれる「いつでもドクター」など、具体的な製品やサービスも挙げられている。

AIによって変わる企業の雇用

多くの企業では、AIによる業務プロセスや単純作業の自動化により、作業スピードと品質の向上が実現されるようになった。人間が行うよりも効率が良く生産性も高いため、AIへの切り替えはさらに進んでいくだろう。そのため、企業は今後、AIを活用した革新的なビジネスモデルを生み出していく可能性があり、そのためには優秀な人材確保が必要です。短期的には、IT人材などの即戦力が求められ、中長期的には、AIに取って代われない人材の雇用が必須となり、人材の育成やモチベーションの向上などが新たな課題となる。

AIに奪われる仕事、奪われない仕事とは?

AIは、すでに私たちの生活に必要不可欠なものとなりつつあり便利な一方で、AIによって多くの職業が奪われる可能性がある。今後AIに奪われる可能性の高い仕事、低い仕事をそれぞれ具体的に解説していこう。

AIに奪われる仕事

正確性や精密さが求められる仕事は、人間よりもAIの方が速く正確にできるようになるだろう。代表的な仕事としては

  • 工場従事者
  • 建設作業員
  • レジ係

これらの仕事は正確性と精密さが求められるので、AIに奪われる可能性が高いだろう。

また、決まった業務をルール通りにこなす仕事も、AIには得意の分野だ。具体的には次のような仕事を挙げることができる。

  • 受付係
  • 事務員
  • 税理士、会計士

このような決まりきった仕事もAIに奪われてしまう可能性が高い。

AIに奪われない仕事

反対にAIが進歩しても変わらず需要があり、奪われにくい仕事もある。

例えば独創性が要求されるクリエイティブな仕事は、AIにはまだ難しく奪われにくい仕事といえるだろう。

  • デザイナー
  • 芸術家
  • ミュージシャン
  • 漫画家
  • 美容師

これらの仕事は独創的なアイディアや特別な技術が必要になるため、AIに奪われる心配は少ないだろう。

また、体を使ういわゆる物理作業も、AIが簡単に代用できない分野である。

  • スポーツ選手
  • スポーツインストラクター
  • 役者
  • 外科医
  • 理学療法士
  • 歯科医師

医療の世界ではすでに診断でAIを活用している例もあるが、外科医師や理学療法士、歯科医師のような実際に患者に触れて治療する職業は、AIに奪われる心配は少ないだろう。

また、人間が柔軟に適切な判断をしなければならない仕事も、AIに奪われる心配が少ない職業である。

  • 弁護士
  • 教師
  • 経営コンサルタント
  • ファンドマネージャー
  • 営業職

このようにマニュアルに沿って画一的に仕事をする職業よりも、独創的な発想や臨機応変な対応が必要とされる職業の方が、AI時代も生き残ることができるだろう。

AI時代の到来に備えて

AIに奪われる可能性が高いのは、単純作業や緻密さが要求される作業である。AI時代により市場から求められる人材になるためには、決まりきったことをするのではなく、クリエイティブに新しいことを生み出すスキルを身につけなければならない。

自分にしかできないことを見つけ、企業や社会に対して自分の個性をアピールできるようにしよう。また、他人とのコミュニケーション能力や人をまとめる力なども、AIが再現するのは難しいのではないかと言われているので、人と関わり、人を動かす経験を積んで、AIには真似のできない自分を形成していくことが大切だ。

AIの進歩により、私たちの仕事のあり方は大きく変わろうとしている。職業や働き方など、改めて仕事を見つめ直す時代が来ている。AI発展の情報を確認しながら、変化していく将来に対応できるよう、今後の自分のキャリアを考えていくことが重要だ。