バッテリーの劣化を早める意外な理由と劣化防止対策

2025年4月10日

ノートパソコンを長く使うと購入当初よりもバッテリー駆動時間が短くなる。それはバッテリーが劣化して充電できる最大容量が減ったからだ。バッテリーは消耗品であり使えば使うほど劣化が進む。ただ、誤ったバッテリーの使い方をすると劣化スピードが速まってしまう。本記事では劣化を最小限に抑える使い方を見ていこう。

バッテリーの劣化は2種類 保存劣化は自力で防げる

バッテリーの劣化は充放電を繰り返すうちに自然と起こる「サイクル劣化」と、使わなくても時間とともに容量が減る「保存劣化」の2種類がある。サイクル劣化は防げないが、保存劣化は使い方次第である程度防げる。

一般的にノートパソコンに使われるリチウムイオンバッテリーは、正極から負極へのイオンの移動によって充電する仕組み。最初のうちはイオンの移動がスムーズだが、やがて化学反応によって生成された物質がイオンの移動を妨げるようになる。こうして移動できるイオンが減り、充電容量が減ることを劣化と呼ぶ。

ノートパソコンに使われるバッテリーの寿命は約2~3年と言われており、使用年数が長いと充電がすぐになくなったり、バッテリー駆動で使用できなくなったりすることもあるだろう。また、バッテリーにはサイクル寿命というものがあり、充電できる回数には限りがある。個体差はあるものの、リチウムイオンバッテリーの場合は、数百回の充放電を繰り返すと使えなくなることが一般的だ。

こんな使い方していませんか?寿命を縮めるパソコンの使い方

過酷な環境下での使用

熱過ぎる、もしくは寒過ぎるなど過酷な環境下でパソコンを使用していると、バッテリーの劣化が早く進む。直射日光の当たる場所は避け、エアコンを利用するなどしてパソコンが高温・低温になり過ぎないよう注意しよう。ノートパソコンの場合はケースに入れたまま使用したり、布団の上で使用したりするのは避けた方が無難。吸排気口がふさがれてしまうと、うまく排熱できずパソコンに負荷がかかって必要以上に発熱してしまうことがある。

充電しながらの使用

充電しながら使用すると、場合によってはバッテリーが劣化してしまうことがある。ACアダプターを接続したまま使用することは問題ないが、リチウムイオンバッテリーは満充電の状態だと劣化が早く進むので、しきい値を80%に設定するなどして、充電しながらでも満充電にならないよう注意しよう。

日々長時間の使用

バッテリーの寿命に使用期間や充電回数の目安はあるが、使用状況によって劣化の進行具合は変わってくる。毎日長時間使用している場合はバッテリーにかかる負荷が大きくなるため、一般的に想定される使い方をした時よりも寿命が短くなってしまう可能性がある。

保存劣化を防ぐには

バッテリーは使用すればするほど消耗していくため、パソコンの消費電力を抑えることがバッテリーを長持ちさせることにつながる。具体的にどのような対策が有効なのか、バッテリーを長持ちさせる方法について解説しよう。

ディスプレイの明るさを調整しよう

購入したばかりのノートパソコンは、ディスプレイの明るさが最大に設定されていることがある。輝度を下げることによって消費電力が下がり、バッテリーの消耗を抑えることができるだろう。輝度を下げ過ぎると画面が暗く見にくくなってしまうが、輝度が高過ぎても目への負担が大きく疲れてしまう。バッテリーのためだけでなく、身体への負担を軽減するためにも、ディスプレイの明るさは適切に保とう。

ダークモードに設定しよう

ダークモードとは、背景色が暗く文字の色が白色など明るめの色に設定されたモードのことである。背景色が明るいライトモードと比べて、画面のまぶしさを軽減できるだけでなく、ディスプレイの種類によっては消費電力を抑えることができる。液晶の場合は画面の色に関わらずバックライトは常に点灯するため、あまり消費電力に大きな違いは生じないが、有機ELの場合はダークモードに設定することによって若干消費電力を抑えられる可能性がある。

いらない外部デバイスは取り外そう

USBメモリや無線LANのUSBスティック、無線マウスのUSBレシーバーなどの外部デバイスは、接続しているだけで消費電力が高くなるので、使っていない外部デバイスはつなぎっぱなしにせず、取り外すことで消費電力を抑えることができる。ただし、小さな受信機などは取り外すと紛失してしまうリスクもある。取り外すことによって節約できる電力量はわずかなので、まずは他の対策を優先しよう。

SSDを使用しよう

最近のノートパソコンでは、ストレージにSSDが搭載されていることがほとんどである。SSDはHDDと比べると消費電力が少なく、衝撃にも強く、さらには読み込み・書き込み速度も高速といったメリットがある。大型のノートパソコンの中にはストレージの容量を大きくするため、SSDに加えてHDDも搭載されているモデルも存在する。可能であればHDDをSSDに換装することによって、消費電力を抑えることができるだろう。

使ってないアプリは閉じよう

アプリを起動すると、CPUやメモリーが処理を行うためパソコンへの負荷が高まる。同時に複数のアプリを使用すると、負荷はさらに高くなるため消費電力も大きくなる。使用していないアプリや、バックグラウンドで動いている不要なアプリがある場合は停止しよう。バックグラウンドでどのようなアプリが動いているかについてはタスクマネージャーから確認することができる。

ネットに接続しない時は無線LANを切ろう

インターネットに接続する必要がある場合は仕方ないが、無線LANの設定をオンにしているとパソコンの消費電力が大きくなる。インターネットに接続しない時でも、無線LANの設定がオンになっているとパソコンは周囲にアクセスポイントがあるかどうかを常にチェックしているので、インターネットに接続する必要がない時は設定をオフにしておこう。

満充電を避けよう

リチウムイオンバッテリーは、満充電の状態になると劣化が早く進んでしまうので、100%まで充電せずに、80%程度まで充電できたらその時点で充電をやめるようにしよう。満充電を避ける方法としては手動でACアダプターを抜くという方法もあるが、パソコンによっては充電量の上限値を任意の値に設定できるモデルもある。ノートパソコンは充電しながら使っても問題ないが、バッテリーの消耗を抑えるためには100%まで充電するのは避けよう。

充電回数を減らそう

ノートパソコンのバッテリーにはサイクル寿命があり、充電できる回数には限度がある。少しバッテリー残量が減ったからといって、すぐに充放電を繰り返すような使い方をしていてはバッテリーの消耗が激しくなるので、バッテリー残量があるうちは小まめに充電をするのではなく、ある程度バッテリーが減ってきたタイミングで充電するようにしよう。

充電がゼロの状態で長期間放置しない

バッテリ-は過放電の状態で放置すると、電源に接続しても充電することができなくなってしまいます。小まめに充電することもバッテリーにとっては良くありませんが、充電がなくなった状態で放置することは避けよう。また、パソコンは電源を切って放置している間にも自然放電し、徐々にバッテリーが減っていくので、長期間使わない場合でも、数ヶ月に1度は充電して残量がゼロにならないよう気を付けよう。

衝撃を与えないようにしよう

バッテリーに強い衝撃を与えることは禁物だ。パソコンを落下したりぶつけたりすると、バッテリーにも潜在的なダメージを与えている可能性がある。見た目上は何も問題ないように見えても、バッテリー内部の電池や回路基板を損傷しているかもしれない。発熱や発火、破裂などのリスクが高まるため、ノートパソコンを持ち運ぶ時はクッション付きのケースを利用するなど、衝撃から守るための対策が必須だ。

電源を付けっ放しにしない

バッテリーは充放電を繰り返すことで消耗していくため、無駄なバッテリー消費を抑えることが長持ちさせるコツであるとも言える。パソコンを使わない時も電源をつけっぱなしにしていると余計な電力を消費してしまうため、使わない時はシャットダウンするかスリープモードを活用しよう。一時的に離席する場合はスリープモードにすると復帰が速く便利ですが、シャットダウンはバッテリーへの負荷をより軽減することができる。

また、Windows 11 を搭載しているパソコンであれば、Windows の標準機能でもバッテリーの消費を抑えることができる。どのような設定項目があるのかについて簡単に紹介しよう。

エネルギーに関する推奨事項を設定しよう

「エネルギーに関する推奨事項」では画面の明るさやスクリーンセーバーなど、平均よりも多くの電力を使用する可能性がある項目について個別に設定することができる。

「スタート」メニューから「システム」>「電源 & バッテリ」>「エネルギーに関する推奨事項」>「設定」を選択し、それぞれの項目を設定する。

省エネルギー機能を有効にしよう

省エネルギー機能を有効にすると、バッテリーが特定の残量を下回った時にバッテリーの節電モードに切り替わる。省エネルギーモードでは電力使用量が自動的に管理され、パソコンのパフォーマンスを調整することでバッテリー寿命を引き延ばすことができる。

設定方法は「スタート」>「設定」>「システム」>「電源 & バッテリ」から「省エネルギー」を選択し、「バッテリーレベルがオンの時に省エネ機能をオンにする」の隣にある任意のバッテリーレベルを選択する。

それでもバッテリーが寿命を迎えたら…バッテリーが寿命を迎えた時の対処法

バッテリーが寿命を迎えたらパソコンの動作が不安定になったり、電源が入らなくなったりすることがある。突然パソコンが使えなくなると困惑してしまうが、バッテリーが寿命を迎えた時の対応を解説しよう。

メーカーに交換を依頼する

ノートパソコンは分解の難易度が高く、自分でバッテリーを交換するのが難しいモデルもある。基本的には有償での対応となることがほとんどだが、メーカーに依頼すれば安全かつ確実にバッテリーを交換することが可能だ。一般的に、メーカーはノートパソコンを製造してから5~10年はバッテリーの在庫を保有していると言われている。発売から長期間経過していると交換に対応できなくなる場合があるため、バッテリーに不具合が発生している場合は早めに交換を依頼しよう。

自分でバッテリーを交換する

ノートパソコンの機種によっては、自分でバッテリーを交換することができるものもある。バッテリー交換をメーカーや修理業者へ依頼するとパソコンの送料や工賃がかかってしまうが、自分で交換することができればそれらの費用を節約することができる。

新しいパソコンに買い替える

バッテリーが寿命を迎える頃には、パソコン内の他のパーツも劣化している可能性があるので、バッテリーだけ新品同様にしても、他のパーツが劣化しているとさまざまな不具合が発生するかもしれない。メーカーや業者に依頼すると、バッテリー交換だけでも数万円かかることが一般的だが、パソコンの購入からある程度の年数が経過しているのであれば、パソコン自体の買い替えを検討してみてもいいかもしれない。

ノートパソコンのバッテリーは使えば使うほど消耗し、通常は約2~3年で寿命を迎えるといわれているが、使い方次第ではそれ以上に長持ちさせることも可能だ。普段何気なく行っているバッテリーの充電も、バッテリーの性質を知り適切な方法で充電することによって、充電可能回数を大きく延ばすことができるだろう。本記事で紹介したバッテリーを長持ちさせる方法を実践し、お持ちのパソコンを長く大切に扱ってほしい。